7/12、(祝!)唯笑ちゃんの誕生日記念
「宿題」 from Memories Off by KID
・プロローグ
「お久しぶり智也ぁ。」
「あぁ、、、彩花かぁ。」
「彩花かぁ、じゃないわよ。全く。何やってんのよぉ。ばかぁ。」
「何をって眠いから寝てんだよ・・・・・・って、えぇぇぇぇぇ。」
智也は跳び起きた。はあはあはあ・・・はぁ。全身が汗で重い。
どうやら机にとっぷしたまま、眠っていたらしい。
壁の時計を見ると、3:54。
そうか寝てしまったんだなぁ。
でもどうして彩花が・・・・・・今頃・・・??
・宿題
3年生に進級した俺たちは、学校に向かういつもの電車に揺られていた。
「とぉ〜もぉ〜ちゃぁ〜ん」
唯笑の明るい声が響く。
これがいつもの光景。あの日から変わらない心地よい光景。
「ねぇぇぇ、智ちゃんてばぁ。」
無視されたことに抗議するするように、頬をふくらませ気味に俺の顔をのぞき込んでいる。
「何だよ。」
「古文の宿題やったぁ?」
「宿題?」
「うん、俳句の宿題。」
「俳句の宿題ぃぃぃ?」
かなり間抜けな声を出したに違いない。何人かの乗客がこちらを見ている。
「ほえ。」
唯笑はきょとんとした顔をして、
「うん、俳句の宿題。」
と同じセリフを繰り返した。
「そんなのあったけ・・・。」
「先週の授業中、智ちゃんが寝てた時に先生が言ってたの。
あぁぁ、せっかく唯笑が宿題あること教えてあげたのになぁ。」
唯笑は残念そうな顔で座席に座り直した。
「だったら宿題そのものも教えてくれ。」
「だめだよぉ。おんなじのだったら提出した時、ばれちゃうよぉ〜。」
「提出?」
「そうだよ。作ったの出すんだよぉ。」
「ぐぐぐ・・・。」
ガックリ。
自分が深刻な状況にいることを宣告された。
数刻の沈黙の後、
「なぁ、唯笑。唯笑はどういうの作ったんだ?」
と唐突に聞いた。
「・・・・・・、教えない。」
「えっ?」
「だって智ちゃん、真似するでしょう。」
「んなことするか・・・。(でもするかもしれなぃ)」
「智ちゃん、声がうわずってるよ。」
「そんなことはない。」
「声が大きくなっているよ。」
「・・・・・・。」
「ほらほら。」
「だからダァ〜メ。」
唯笑はにっこり微笑んだ。
「澄空学園前ぇ〜、澄空学園前ぇ〜、お降りのお客様は・・・」
と車内アナウンスが響いた。
「着いたよ、智ちゃん。」
唯笑に引きずられるように、電車を降りた。
俺を引っ張っていた唯笑が急に手を離して、振り返った。
「ほぅら、早く行って2人で考えようよ。」
唯笑の笑顔が気分を吹き飛ばしてくれるようであった。
「よし、走っていくぞぉ。」
「えぇ?!」
「競争だ。よ〜いドン。」
「あぁぁん、ずるいよ智ちゃん。」
いつもの通学路。いつもの光景。
この変わらない光景もあと1年もないんだなぁ。
「とぉ〜もぉ〜ちゃ〜〜ん。待ってよぉぉぉ。」
・エピローグ
「せっかく起こしてあげたのになぁ。」
2人の走る姿を見ながら、彩花はぼやいていた。
「でも智也らしいかも。」
彩花はにっこり微笑みながら、
「唯笑、しっかりね。」
End ... written by 竹河晴(AZALIN) 2001.07.12
・作者後書き
今日(7/12)は唯笑ちゃんのお誕生日ということで、唯笑ちゃんのストーリーです。
初めてのSS作品でお恥ずかしい限りですが、公開してみました。
お願いですから、石を投げないで下さいネ(笑)。
さて、唯笑ちゃん作の俳句はどういう内容だったのでしょうか?