Memories Offオリジナルストーリー
Memories Mirage


Act:01 運命の時…。
      交わり合う「現実」と「蜃気楼」



 ある日の夕暮れ…、一人の少年と一人の少女はお互いの心を知り、未来へと結ばれた…。
しかし、「輪」は途切れない…。それはいつまでも…。そう、いつまでも…永遠に途切れる事なく。


 「では、テキストの83ページの4行目を…そうねぇ…。三上君、訳してください」
今は英語の授業中。静かな教室の中に渡る声―声の主は「川島 優夏」、智也と彩花のクラスである2年B組の担任で、明るくて優しいと評判のまだ若い女性教師である。―にも関わらず、
智也はまだ夢の中にいた…。
「と、智也ぁ…。先生に当てられてるってば、早く起きないと」
と慌てて彼を揺さ振って起こそうとしている彩花の姿があったが、川島教諭にハッキリとロックオン
された今、その努力は最早遅すぎた…。チョイチョイと手で彩花に『避難してなさい』とジェスチャーを送り、川島教諭は足音を殺しつつもおもむろに智也の横に立った…。
そして…クラスの全生徒が耳を塞ぎ身をすくませる中……。
『みぃーーーかぁーーーみぃーーーくぅーーーん!!!!!』
と優夏の声が大音響で響き渡り、『だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!』という絶叫と共に智也が
慌てて飛び起きた。しかも、机を盛大に蹴り上げんばかりの勢いで……。
「新学期からこっちずっと居眠りばっかり…。廊下に立ってなさーい!!」
最早こうなっては弁明もできまい。すごすごと廊下に向かう智也を一瞥した後、優夏は
少々疲れたような表情で彩花の方をみて、同情するかのように
「桧月さん、あなたも大変ね」
とあきれ顔で語りかけるが、彩花は
「伊達に13年間幼馴染みはしてませんから」
と返す。そして、クラス中が落ち着きを取り戻し「ふぅ」と優夏が溜息をついた後。
「じゃあ、桧月さん。83ページの4行目を訳して」
「はい。え〜っと、『その場所は遥か彼方にある伝説の国だったが、人々は神に背くような
力を使おうとした為神により滅ぼされた』です」
 …こんな一コマを繰り返し、日々は平凡(?)に過ぎていった…。


 そして今日は初秋の日曜日、暑くもなく、かといって寒くもない絶好の行楽日和だ。
「お〜い、早く行こうぜ!?」
と智也が促し、
「わーい、行こう行こう!!」
と唯笑がはしゃぎ、
「もう、二人とも騒ぎすぎだよ?」
と彩花が注意する。
「すまん…」
「ごめぇ〜〜ん」
と二人があやまる。
「あ、彩花ちゃん。私は全然気にしてないから」
と彩花の横に立っているツインテールの少女がフォローする。
「でも、みなもちゃん…みなもちゃんの事は叔母さんからも『気をつけてね』って言われてるし…」
「ほんとに大丈夫だってばぁ…。あ、それよりも早く落ち葉見にいきましょう!!」
そう言ってその少女は駆け出した…。
 彼女の名は『伊吹 みなも』、彩花の親戚の一人で、彩花よりも一歳年下の女の子である。
本来は病弱であまり外には出られないのだが、今日はみなも提案の『落ち葉見』と言う事で皆が
集まったと言う訳なのだ。
 智也と唯笑は、みなもが小用で彩花の家を訪れた際に紹介されていた。そして今ではすっかり
仲良くなり、親友と呼べるようになっていた。当初は智也達もみなもの病気のことを心配していたが、後に届いたドイツに住んでいる親戚からの手紙で、病気は問題なく完治することが判明したために
−「但し、体には十分気をつけるように」とクギもさされていたが−
今回の落ち葉見決行となった訳である。


 場所は変わって藍が丘から少し離れた公園…、今回の落ち葉見の場所はここである。
「みなもちゃん、大丈夫だった?」
と、唯笑が真っ先に声をかける−普段はどこか抜けている感が否めないが、こういう点に関して
唯笑は鋭かった−が、みなもは
「うん、ぜんぜん大丈夫だよ」
と返す。そして今度は智也が
「しっかし、ウチの近くにこんなきれいな公園があったとはなぁ…」
と漏らす。
「ふふーん。何たってみなもちゃんイチ押しの場所だからね?」
と彩花が付け加える。
「ねえねえ、早くお弁当にしようよぉ」
と唯笑がみんなを促し、
「そうだな、俺も腹が減ってきたし…」
と智也が同意する。それに対して
「はぁ…、二人とも…」
と彩花があきれ顔でつぶやく。
「あはは。でも、わたしもお腹が空いちゃったからお弁当にしよう?」
とみなもも同意する。
「そうだね、じゃあそうしよっか?」
と言ってお弁当がひろげられた。
 お弁当は「各自が持参」で、それぞれの個性が反映されているものだった。
例えば彩花のお弁当は正統派−タコさんウインナー・から揚げ・ポテトサラダ等が入っていた−の
スタイルで、みなもも「きゅうちゃん」−「伊吹家に伝わる保存食」とのことだが、正体は定かではない−のはいったおにぎりを中心に、ごくごく普通の内容であった。智也と唯笑も用意はしていたのだが、二人のそれに比べるとやはり見劣りがした。


 そうこうしている内に、お弁当も食べ終わり、みんなで落ち葉を見ている時の事だった。
「はぁ…。早く元気にならないかなぁ…」
と彩花がぼんやりと空を見ながら呟いた。
「彩ちゃん。それって、みなもちゃんの事?」
と唯笑が尋ねる。
「うん…。それもあるんだけどね、その…」
と答える彩花の言葉の歯切れがいつになく悪い。
「彩花、よかったら話してくれないか?彩花だけで抱え込むのも何だしさ…」
と智也も心配気にフォローする。
「…そうだね、その方がいいかもしれないね」
と彩花が一声つむいだ後、静かに語りだした…。
「私の…、つまりみなもちゃんの親戚でもあるんだけど、『氷乃森 華音(ひのもり かのん)』ちゃんって言う子がいるんだけど、4月に事故にあって、まだ意識が戻らないの…。」
「え!?い、今10月だよ!?じゃあ、今までずっと眠ったままなの?」
と尋ねる唯笑の言葉もいつになく上ずっている。
「うん、華音ちゃんは生まれつきの障害で唯笑ちゃんよりもずっと赤い瞳を持ってるの。それで…
小さい頃はよくいじめられてたって」
とみなもが言葉を繋ぐ。
「な…」
さすがの智也も言葉が見つからない様である。
「雨の日に、いじめっこから逃げ出そうとしてトラックに撥ね飛ばされて…。怪我は大した事無かった
らしいんだけど…。何回かお見舞いにも行ったんだけど、目を醒ましてくれなくて…」
「華音ちゃんは、彩ちゃんにとってのお姉さんなんだ?」
と唐突に唯笑が尋ねる。
「うん。明るくて、とっても優しい子で、私やみなもちゃんのお姉さんみたいな人なの」
と彩花がうっすらと涙を浮かべながら話す。
「いいなぁ…。唯笑は一人っ子だから、何かうらやましいな」
と唯笑が呟く。
「彩ちゃん、唯笑たちもお祈りするよ。『華音ちゃんが早く元気になりますように』って」
と唯笑が励まし、
「おう、もちろんみなもちゃんのこともな!!」
と智也も同意する。
「ありがとう…智也…唯笑」
と彩花が涙声で呟く。
 そして、日も暮れかかった頃、みんなは家路についていった…。


 あの日の落ち葉見から一週間後の土曜日…。
 智也は雨の中、傘もささずに走っていた。
降りしきる雨の音とともに、智也の中の『誰か』が『ハヤク!!コノママデハイケナイ!!
モット、モットハヤク!!』と告げていた…。
そして、曲がり角に足を取られながらも幾つめかのの曲がり角を曲がった時…。
『あ…あ…あや…か…!?』
 激しい雨の中、路上に少女が倒れている。そしてその傍には眩しいくらいの白い傘が
風に吹かれて転がっていた…。
オーバーオールを着て、艶やかな栗色の髪には黒いヘアバンド…。そして、赤く色づいた水溜りの
中に横たわるその少女の顔は間違いなく彩花のそれであった……。
『そんな、そんなの嘘だろ!?おい!彩花!!返事しろって!!彩花……
彩花ァァァァァァ!!!!!!』
更に激しさを増し−古典的な言い方をすれば『バケツがひっくり返ったような』と言う言い方が
しっくりとくる−降りしきる雨の中、智也は体温を失い冷たくなり逝く彩花の体を抱き抱えて
絶叫し続けた………。


『…君、…・かみ君、……三上君!?起きなさい!』
スパァァン!!
「イテッ!!」
 智也は慌てて起き上がり、周囲を見渡した。
「あ…あれ!?ここは…会議室?じゃあ、今のは『夢』?」
「やっとお目覚めのようね…。って、どうしたの!?汗びっしょりかいて?
それに、涙なんて…」
と、丸められた雑誌を片手に問いかけるのは担任の優夏であった。
 今は土曜日の放課後。何故智也が会議室にいるのかと言うと、金曜日に学校をサボって
ゲームセンターにいるところを、優夏の同僚の『石原 誠』に見つかって御用となり、そのペナルティーとして月曜日の職員会議の資料製作−無論、担任である優夏の監視付きであるが−
を命じられたのである。
「さ、早く済ませちゃいましょ。花の土曜日にいつまでも学校にいるなんて、
なーんとなく野暮ったいだけだし」
と言って優夏は資料の説明を始めた…。
「……で、ページを合わせてホチキスでパチンッ!!、とそれだけ、分かった?」
「はい…」
と答える智也だが、妙に顔色が良くない。
(今の夢は何だったんだ?まるで、この後に起こることみたいに鮮明だったし…。)
「三上君?」
「あ?は、はい!!」
「大丈夫?」
「へ、平気です!!それよりも早く片付けましょう!」
「そう…、ならいいんだけど…」


 パチン、パチン、パチン………。
静かな会議室の中にホチキスの音が木霊する…。
「ねぇ…三上君…」
優夏が静寂を切り裂いて智也に語りかけた。
「何でしょう?」
「さっきの『夢』なんだけどさ、もしかして、『悲劇を知らせる予知夢』なんじゃないの?」
「え?」と聞き返す智也だが、優夏はそれを無視して話を続けた。
「そのままで聞いていて…。私と誠はね、二人で同じ夢を見続けていることが分かったの。そう、二人は『一度死んでしまう』んだけど、螺旋状の空間を通って、また同じ夢の始まりに戻される…。
そんな事を永遠に繰り返す…。そう、それは正に『悪夢』…」
『まさか』と智也は言いかけたが、優夏の血の気が引いた蒼白な、しかし、真剣そのものの
顔を見ては、そうも言えなかった…。
 そうこうしている内に資料も全て作り終わり、智也はやっと開放された。
「今回はこれで見逃すけど、もし二回目があったら停学よ?」
と優夏が釘を刺す。
「はい、身に染みました…」
「反省してるならよろしい。では、帰ってよし」
「ありがとうございます」
そう言って智也は会議室を後にした。
「あれ?ちぇ…雨降るなんて聞いてねぇぞ」
智也が空を見上げてそう呟く。
確かに、朝から雲は低く垂れ込めていたが、降水確率上は降らない筈だった。
「さて、どうやって帰ったものか…」
と智也がそこまで言いかけた時、『コノママデハイケナイ』と言う声が頭の中に響いた。
(何だ?今の声は…。それにこの感じは…?)
智也の中には、何か言い知れない、『どす黒い何か』が渦を巻き始めていた。そして、先刻の『夢』がフラッシュバックとなって智也に何かを告げていた…。
(そうか!!さっきの『夢』はこれから起こる事への『警告』だったんだ!!ならば!!)
智也は慌てて昇降口の電話に飛び付き、指先が覚えているあの番号を無意識のうちに
ダイヤルしていた…。


 トゥルルルルル…トゥルルルルル…トゥルルルルル…ガチャ!
『はい、桧月ですが…』
「もしもし?俺です!三上 智也です!彩花いますか?」
 どうやら電話に出たのは彩花の母親らしい、智也が辿り着いた考えは
『彩花が家にいるように仕向ける』だった。『電話で何か適当な約束をして彩花を外出させなければ、彼女が事故にあうことは無い』と言う風に考えたのである。が、彩花の母親の回答はそんな智也の
淡い期待を粉砕するには十分なものであった。
『ああ、彩花なら少し前に『智也を迎えに行って来る』って学校のほうに向かったわよ』
「そ、そうですか…。分かりました。ありがとうございます!!」
ガチャン!!と電話を切るのが早いか、智也は全力で雨の中に駆け出していった…。


(急げ、あの『悪夢』を現実にしてはいけないんだ!!何としても…何としても!!)
『信念の力』とでも言うべきか、普段の智也では想像も付かないほどのスピードで雨の中を
全力で駆けて行く。目指すはただ一人…最も愛しい彼女の元へ!!
何度目かの角を曲がり、正面を向いた智也の視線の先に…、いた!彩花だ。智也の『予知夢』そのままに、白いトレーナーに濃紺のオーバーオール、そして眩しいくらいの白い傘…。彩花は間違いなく智也を迎えに来たのだ。が、その後ろを見て智也は絶句した。彩花の背後から、トラックが突っ込んで来ているのだ。運転手が助手席を覗き込んでいるのが遠目にもはっきりと分かる。対する彩花は、
雨音のせいでまだトラックには気付いていないらしい。智也を見つけ、笑顔で手を振っている。
『逃げろ!彩花、逃げるんだ!!』と智也は叫ぼうとしたが、ここまでの全力疾走がたたって息が上がり声が出ない!!そして彩花がふと後ろを振り返り、迫り来るトラックを慌ててかわそうとするが、
両者の距離はあまりにも短すぎた……。そして…。


 ギャギャギャ!!!キキィーーーーー!!!
激しい金きり音の中、智也の目にスローモーションの様に写ったのは、まるで人形のようにトラックに
撥ね飛ばされて宙を舞う彩花の姿と、トラックの風圧に巻き上げられ、バラバラに砕け散りながら
木の葉のように舞う白い傘だった…。
「あ…彩花ァァァァ!!!」
智也は絶叫と共に駆け寄り、彩花を抱き抱えた。彩花の方は、まだ息があるものの出血がひどい。
おまけに地面に叩き付けられる瞬間、側頭部から落ちているのが智也にも見えていた。
「おい、彩花。しっかりしろ!!彩花、彩花!!」
何度智也が彩花を揺すっても彩花は苦しげに
「う…、うう……」
と呻き声を上げるのみである。
「彩花…彩…」
数時間前に見た悪夢そのままの再現としか思えない光景に、智也の全身から力が抜け、
その場にへたり込んでしまったのは仕方がないと言えばそうかもしれない事であった………。


 「おい!何やってんだよ、お前!!」
唐突に智也の背後から声が掛かる。
振り向くと、智也と同い年くらいの少年が血相を変えて駆け寄ってきた。
「警察には連絡したのか!?救急車は!?」
とその少年は質問を浴びせてくるが、今の智也はパニック状態で錯乱し、まったく使い物にならない状態である。そして、そんな状態の智也が呆然としていると、
「チッ!!しょうがねぇなぁ…。俺が連絡してやるから、お前はその子に上着でも掛けててやれ!!
…心配すんなって。撥ねた車のナンバーはしっかり控えてあるから、すぐに捕まるさ」
そう言って少年は近くの公衆電話に取り付き、警察に連絡をはじめた…。
その間、智也は少年に言われたとおり彩花に自分の制服の上着を掛けてから抱き締め、
体温を少しでも保てるように努力していた。
 やがて、駆け付けた救急車に乗せられて彩花と智也、そして少年は『澄空市民病院』に
運ばれていった。病院に到着後、彩花は緊急手術の為に手術室へと運ばれ、、そして智也と少年は別個に警察の事情聴取−事情聴取と言っても、身元を聞かれた上で事故の状況を聞かれただけの簡単な物だったが−を受けた。
 やがて、智也が事情聴取を終え、ロビーに出てくると、例の少年はロビーのソファに腰かけ、
自販機で買ったのか紙コップのコーヒーを飲んでいた。
「おう、落ち着いたか?」
そう聞いてくる。
「ああ…ありがとうな。もしあんたがいなかったら、俺は、あの『夢』のように…」
「ストップ!!あんたの見た『夢』がどんなモンかは知らんが、少なくとも最悪の状況は回避出来た
訳だ。あんまりそんなことばっかり考えるのは良くないぜ、『彼女』のためにも、な?」
といって、少年はひとなつっこそうな笑みを浮かべる。
「ああ、そうだな…。ところで、まだ名前を聞いてなかったな…何て言うんだ?名前」
と智也が尋ねると、
「俺の名前は『信』、『稲穂 信』。『澄空第一中学』の二年生だ」
信と名乗る少年はそう答えた。
「俺は『智也』、『三上 智也』。『藍が丘北中学校』の二年生だ」
智也もそう答える。
「何かさぁ、俺達って意気が合いそうだよな」
そう信が尋ねてくる。
「ああ、かもしれんな」
と智也も答える。


 やがて…。
「おっと、時間だ。じゃあ俺帰るわ」
「もう帰るのか?せめて、手術の結果位…」
と智也が言うが、
「ああ、だったら大丈夫さ。お前みたいな頼りなさそうなヤツ残して逝っちまうような
子じゃあないんだろ?彼女」
とさらりと言う。
「う゛…ま、まぁな…」
と智也がつまりながらも答える。
「ま、そう言う訳だ。じゃあな」
そう言って信は病院を後にした。
 やがて、彩花の両親が駆けつけた後、手術を終えた医師から彩花の現在の状態についての説明があった。かいつまんで言うと、『一命は取り留めたが、側頭部を強打しているためにどの様な後遺症が起きるかはわからない』とのことだった。その為に、『当分はICU(集中治療室)で様子を見る』との
事らしい。智也も出来れば一緒にいたかったのだが、彩花の両親に諭されて家に戻り、
眠れぬままに床についた……。


 それから数日後…。
 信の言うとおり、彩花を撥ねたトラックの運転手は警察に逮捕された。『恐くなって逃げた』と言う
月並みな理由などどうでも良かった。『なぜ病院に連れて行かなかったのか?』と言う怒りにも似た
感情しかその時の智也にはなかった。
 そして、彩花が一般病室に移ったある日の放課後…。
「ねぇ、智ちゃん。彩ちゃん早く退院できるといいね?」
と唯笑が尋ねてくる。
「ああ、そうだな…」
と智也も空を見上げながら呟く。
二人は彩花の病室にいた、学校が終わってすぐにここを訪れたのである。
「早く…彩ちゃんとお話したいなぁ…」
そう唯笑が呟いて彩花の方を振り返った瞬間、彩花のまぶたが小刻みに震え、
ゆっくりと引き上げられていく。
「彩ちゃん!?」
「彩花!!」
智也と唯笑が口々に叫び、ベッドに駆け寄る。
やがて彩花は完全に目を醒まし、2・3度瞬きをしてから二人の方を向いて何かを言いかけた刹那、
彩花の表情が見る間に強張り、顔色がどんどん青ざめていく…。
「彩ちゃん!?どうしたの?」
「おい!!彩花!?どうしたんだよ!?おい!!」
二人が取り乱して彩花に尋ねるが、呆然とした彩花の耳には二人の声は
最早届いていなかった………・。
(ど…、どうしよう…。私…しゃべれない………。)


―Memories Mirage Act:01― 完

氷龍「はい!!メモミラ第二話です。何か、前回よりも長くなってますが…」
涼「長いですねぇ…、ホントに」
華音「でも、必要な部分だったんですよね?」
氷龍「ま…ね…・・。それはそうと、二人の存在を暗に出してみたんだけど?」
涼「僕はボカされてたのに、華音は名前入りですか…」
華音「やったぁ!」
氷龍「まあまあ、落ち着け落ち着け」
涼:「むむむ……」
華音「でも、私は意識が無いままだし…」
涼「彩花ちゃん、どうなるんですか?氷龍さん!?」
氷龍「ふっふっふっ……・、『続きをまて!!』」
涼・華音「ええ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
氷龍:「to be cotinued!!

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